2008年8月17日日曜日

精霊舟を作る

精霊舟というのは、お盆にお帰りになった霊様が15日夕刻に極楽浄土へお帰りになる際にお乗りいただく御舟の事で、舟と言っても、日本の各地にいろいろな形態があるようで、灯篭タイプや”わら”で作った船、お神輿のような派手なタイプまで様々です。

哲翁の近所(同じ寺の檀家)の方々は、空いた菓子箱や藁で60cm程度の舟の形をした灯篭を作って、15日にお供え物を乗せて九頭龍川に流します。船が燃える、あるいは転覆・沈没する事で、お供え物が魚のえさとなる三界萬霊の供養でもあります。この風習がある寺は、対岸の三国にもうひとつあると聞きます。

哲翁の家では、哲翁が中学の頃に祖父から精霊舟の製作を引継ぎ、ダンボールで2m前後の精霊舟を製作しています。

最近では、パソコンで書いた設計図やネット上のペーパークラフト用のデータを好みの大きさに拡大印刷できるようになり、巨大化しやすくなりました。

そんな訳で、ちょっと面白そうなペーパークラフトのデータを見つけ、今回はそれを作ってみることに。

 

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クラフト図をアドビのイラストレーターで拡大印刷して、ダンボールにのりで貼り付けて、カットしていきます。

だんだんカッターが切れなくなって手が痛くなります♪

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これが船底のパーツのようです。

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船側面のパーツ。

適当に拡大倍率を決めたのですが、ちょうど2mくらいのようです。

良い感じ・・・と思ったのですが、各パーツを組み立てていくと、とんでもない事になってきました。

徹夜作業で翌朝姿をあらわした船体は・・・

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舳先パーツと船尾パーツがくっついたら、とんでもない長さに!

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りんちゃん、乗ってみ♪

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おっ、りんちゃんなら世界一周できるな!

日本が誇る豪華客船「飛鳥Ⅱ」の船体です。

本来は800分の1ペーパー模型ですが、これは80分の1に拡大。

哲翁の家史上、最大の精霊舟となるかとも思ったのですが、家族から様々な反応。

弟「豪華客船を九頭竜川に沈没させる気け?」

母「どうやって川までもってくの?もっと小さい船でいいって。毎年でかくなって!」

祖父「あっはっは。はー、でかい。あんまり立派な船こさえると、流すのがおとましいなぁ。」

あれ、じいじゃん流す気満々?

しかし、やはり大きすぎて川まで運ぶのが困難と言う事で、胴体中央部を切り取って短くしたら?という意見に・・・。

しかしこの飛鳥Ⅱの船体は、結構スマートなため、中央の一番広い底面の部分を切ってしまうと、転覆の恐れが生ずるため、気が進まない。

ロシアや中国の”中央部切り取って資源節約しました”みたいな転覆大発生の船を作る気は無いのである。

御先祖様に極楽浄土までの快適な船旅を♪というスローガンを守らなくては。

「よし、2号機を作ろう!」

14日夕刻の決断であった。

 

結局、船体には、去年と同じくARIAのDVDに付属のゴンドラペーパークラフトを採用した。去年のサイズの92%の長さに調整し、細かい舳先などのパーツを抜いて制作時間を短縮。

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やっぱり、ARIAのこのペーパークラフトは、精霊船的に見て素敵な船体です。最下部の船底の幅は狭いものの、三枚底で安定感があります。

前後も反りあがって、格好がよい。祖父は、そりの無い平坦な形の舟をあまり好みません。”そりが無いのは川舟。反りがある=波を切る・外海を走る船の形が良い。”と。

さて、上のデコレーションを作りますかね。

夜が明けてきた・・・。

 

15日昼。

親戚の人達が集まって、お酒片手に会話が弾む座敷の傍らで、もくもくと作業し、精霊舟2008が完成した。

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小さなお堂(この辺が城端・曳山の影響か?)をたて、自宅の仏壇の仏像を撮影・印刷してダンボールに貼り付けてお堂に入っていただいた。(仏像の裏側にはアルミホイルを貼り付けて目隠し。)

二人の僧侶が、経を読む。

その後ろに立つ円筒のものが、ろうそくの入った灯篭部になる。

前後のわっかは、去年から採用した好評の持ち手。

本当は側面に絵を描きたかったのだが、体力的にも時間的にも限界!

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仏壇から3枚のお札を下ろして、精霊舟に飾り、準備完了。

トラックで一路マリーナへ。

マリーナから、祖父の知人のボートで九頭竜川の中央まで運んでながすのである。

 

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安全の観点から、哲翁の家では足元の明るい時間に流します。

ちゃんと蝋燭が灯っているのですが、判りませんね。

お堂の屋根の重みで転覆するかも・・・と思っていたが、中のお供え物の重さが効いて、バランスをとっている。

それでは快適なたびを。

また来年、お待ちしております。

合掌。

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