精霊舟というのは、お盆にお帰りになった霊様が15日夕刻に極楽浄土へお帰りになる際にお乗りいただく御舟の事で、舟と言っても、日本の各地にいろいろな形態があるようで、灯篭タイプや”わら”で作った船、お神輿のような派手なタイプまで様々です。
哲翁の近所(同じ寺の檀家)の方々は、空いた菓子箱や藁で60cm程度の舟の形をした灯篭を作って、15日にお供え物を乗せて九頭龍川に流します。船が燃える、あるいは転覆・沈没する事で、お供え物が魚のえさとなる三界萬霊の供養でもあります。この風習がある寺は、対岸の三国にもうひとつあると聞きます。
哲翁の家では、哲翁が中学の頃に祖父から精霊舟の製作を引継ぎ、ダンボールで2m前後の精霊舟を製作しています。
最近では、パソコンで書いた設計図やネット上のペーパークラフト用のデータを好みの大きさに拡大印刷できるようになり、巨大化しやすくなりました。
そんな訳で、ちょっと面白そうなペーパークラフトのデータを見つけ、今回はそれを作ってみることに。
クラフト図をアドビのイラストレーターで拡大印刷して、ダンボールにのりで貼り付けて、カットしていきます。
だんだんカッターが切れなくなって手が痛くなります♪
これが船底のパーツのようです。
船側面のパーツ。
適当に拡大倍率を決めたのですが、ちょうど2mくらいのようです。
良い感じ・・・と思ったのですが、各パーツを組み立てていくと、とんでもない事になってきました。
徹夜作業で翌朝姿をあらわした船体は・・・
舳先パーツと船尾パーツがくっついたら、とんでもない長さに!
りんちゃん、乗ってみ♪
おっ、りんちゃんなら世界一周できるな!
日本が誇る豪華客船「飛鳥Ⅱ」の船体です。
本来は800分の1ペーパー模型ですが、これは80分の1に拡大。
哲翁の家史上、最大の精霊舟となるかとも思ったのですが、家族から様々な反応。
弟「豪華客船を九頭竜川に沈没させる気け?」
母「どうやって川までもってくの?もっと小さい船でいいって。毎年でかくなって!」
祖父「あっはっは。はー、でかい。あんまり立派な船こさえると、流すのがおとましいなぁ。」
あれ、じいじゃん流す気満々?
しかし、やはり大きすぎて川まで運ぶのが困難と言う事で、胴体中央部を切り取って短くしたら?という意見に・・・。
しかしこの飛鳥Ⅱの船体は、結構スマートなため、中央の一番広い底面の部分を切ってしまうと、転覆の恐れが生ずるため、気が進まない。
ロシアや中国の”中央部切り取って資源節約しました”みたいな転覆大発生の船を作る気は無いのである。
御先祖様に極楽浄土までの快適な船旅を♪というスローガンを守らなくては。
「よし、2号機を作ろう!」
14日夕刻の決断であった。
結局、船体には、去年と同じくARIAのDVDに付属のゴンドラペーパークラフトを採用した。去年のサイズの92%の長さに調整し、細かい舳先などのパーツを抜いて制作時間を短縮。
やっぱり、ARIAのこのペーパークラフトは、精霊船的に見て素敵な船体です。最下部の船底の幅は狭いものの、三枚底で安定感があります。
前後も反りあがって、格好がよい。祖父は、そりの無い平坦な形の舟をあまり好みません。”そりが無いのは川舟。反りがある=波を切る・外海を走る船の形が良い。”と。
さて、上のデコレーションを作りますかね。
夜が明けてきた・・・。
15日昼。
親戚の人達が集まって、お酒片手に会話が弾む座敷の傍らで、もくもくと作業し、精霊舟2008が完成した。
小さなお堂(この辺が城端・曳山の影響か?)をたて、自宅の仏壇の仏像を撮影・印刷してダンボールに貼り付けてお堂に入っていただいた。(仏像の裏側にはアルミホイルを貼り付けて目隠し。)
二人の僧侶が、経を読む。
その後ろに立つ円筒のものが、ろうそくの入った灯篭部になる。
前後のわっかは、去年から採用した好評の持ち手。
本当は側面に絵を描きたかったのだが、体力的にも時間的にも限界!
仏壇から3枚のお札を下ろして、精霊舟に飾り、準備完了。
トラックで一路マリーナへ。
マリーナから、祖父の知人のボートで九頭竜川の中央まで運んでながすのである。
安全の観点から、哲翁の家では足元の明るい時間に流します。
ちゃんと蝋燭が灯っているのですが、判りませんね。
お堂の屋根の重みで転覆するかも・・・と思っていたが、中のお供え物の重さが効いて、バランスをとっている。
それでは快適なたびを。
また来年、お待ちしております。
合掌。
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